さか)” の例文
麓の里のやや黒み行く夕暮に、安房なる鋸山のさかしきあたり、「きんだい」といへるが咲きて立ちたる、またなく気高し。
花のいろ/\ (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
とゞめて川面かはづらを見やれば誠に魂を冷す關山とてさかしき坂あり一人こゝを守れば萬夫も越えがたしと見ゆる絶所にて景色けいしよくもよし車夫いろ/\名所話しを
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
忘れたり澤を傳ひ峯に上る隨分さかしき峠なれど馬にまかせてけはしき事を知らず東もち屋村といふは峠の上にして人家四五軒あり名物の餡餅あんもちありこゝにて馬を圍爐裏ゐろりの火にかゞみし手足を
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)