山端やまばな)” の例文
「今日は山端やまばな平八茶屋へいはちぢゃや一日いちんち遊んだ方がよかった。今から登ったって中途半端はんぱになるばかりだ。元来がんらい頂上まで何里あるのかい」
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
京都では、宇治の菊屋とか、山端やまばなの平八とか、嵯峨の三軒茶屋など、あゆを生かしておいて食わせる店が諸所にあった。
鮎の試食時代 (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
帰りに鞍馬へ登って山端やまばなの駅まで戻って来ると、折から小春日の夕日を受けた叡山が、ぽか/\と如何にも暖かそうな色をして居るので、つい誘われて再び八瀬へ取って返し
六日月 (新字新仮名) / 岩本素白(著)
山端やまばなの北手に高野村といふ處がありますが、其處に出雲高野神社といふものがあつたといふことであります。今日ではそれが變りまして崇道神社といふものになつて居ります。
近畿地方に於ける神社 (旧字旧仮名) / 内藤湖南(著)
で尺取って、じりじりと後退あとずさり、——どうやらちっと、めつけられた手足の筋のゆるんだ処で、馬場の外れへ俵転がし、むっくりこと天窓あたまへ星をせて、山端やまばな突立つったつ、と目がくらんだか
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
山端やまばなは寒し素逝そせいを顧みし
五百五十句 (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)