山樵やまがつ)” の例文
そして阿闍利さまは朝晩の勤行も怠りがちで、山樵やまがつもあってその声をきいたことが無いと申し、そういうことはお山では珍らしいことだというておりました。
あじゃり (新字新仮名) / 室生犀星(著)
六波羅衆としますれば、まことの天狗は打ち取れなかったとありましては、時めく太政だじょう入道殿のご威勢にかかわりますから、山樵やまがつや猟師などの、山男にひとしい土民の首を
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
二人の助手——武士とも山樵やまがつともつかぬ荒くれ男は、一礼して向う長根の的の方へ行ってしまいます。谷を隔てて五十丁と言いますが、歩いては二里にも余るでしょう。
江戸の火術 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
その日ぐらしの山樵やまがつ
畑の祭 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
山樵やまがつ
北村透谷詩集 (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
ここはまだ山腹の沓掛くつかけの部落である。僅か十数戸の山樵やまがつや炭焼の小屋があるにすぎない。にもかかわらず、中軍の警戒は甚だきびしく、ふもとの方にも、過ぎて来た道の方にも忽ち哨戒隊しょうかいたいが配置された。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「丞相さま。このおうなは、ごらんの通りな田舎者、世のことは、何もわきまえませぬが、ただ劉玄徳というお方のうわさは、木を山樵やまがつでも、田に牛を追う爺でも、よう口にして申しておりまするが」
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)