居庸関きょようかん)” の例文
居庸関きょようかん弾琴峡だんきんきょう等を一見せる後、万里の長城へ登り候ところ、乞食童子一人、我等の跡を追いつつ、蒼茫たる山巒さんらんを指して、「蒙古! 蒙古!」と申し候。
雑信一束 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
これ開平かいへいの東北の地なり。時に余瑱よてん居庸関きょようかんを守る。王曰く、居庸は険隘けんあいにして、北平の咽喉いんこう也、敵ここるは、れ我がはいつなり、急に取らざる可からずと。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
景隆けいりゅう師を出してこれを救わんとすれば、燕王は速く居庸関きょようかんより入りて北平ほくへいかえり、景隆の軍、寒苦に悩み、奔命に疲れて、戦わずして自ら敗る。二月、韃靼だったんの兵きたりて燕を助く。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
北平既に全く燕王の手に落ちしかば、都指揮使の余瑱よてんは、走って居庸関きょようかんを守り、馬宣ばせんは東して薊州けいしゅうに走り、宋忠そうちゅう開平かいへいより兵三万を率いて居庸関に至りしが、あえて進まずして、退いて懐来かいらいを保ちたり。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)