小切こぎ)” の例文
けゆくまゝに燈火ともしびのかげなどうら淋しく、寝られぬなれば臥床ふしどらんもせんなしとて、小切こぎれ入れたる畳紙たたうがみとり出だし、なにとはなしに針をも取られぬ。
あきあはせ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
太平楽を並べて歩きながらも道庵は、折々立ち止まって路傍の草や木の枝を折って、それをいい加減に小切こぎってはたばねて歩きますから、米友が変に思いました。
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
またある時は(新年のことであったと思う)晴着がないので、国子の才覚で羽織の下になるところは小切こぎれをはぎ、見える場処ところにだけあり合せの、共切ともぎれを寄せて作った着物をきていったことがある。
樋口一葉 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
あめ何時いつあはれなるなかあきはましてにしむことおほかり、けゆくまゝに灯火ともしびのかげなどうらさびしく、られぬなれば臥床ふしどらんもせんなしとて小切こぎれたる畳紙たゝうがみとりだし
雨の夜 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)