寓目ぐうもく)” の例文
その愛読するもの孫子、水戸流の諸書、菅茶山詩、山陽詩文等はもとより、その他経史百家の書より、近代の諸著作に致るまで、寓目ぐうもくせざるなし。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
この書は古い「武鑑」類と江戸図との目録で、著者は自己の寓目ぐうもくした本と、買い得て蔵していた本とを挙げている。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
未だ寓目ぐうもくせずと雖も、けだ藻鑑そうかんの道を説く也。珙と忠徹と、ともに明史方伎伝ほうぎでんに見ゆ。珙の燕王にまみゆるや、ひげ長じてへそぎなば宝位に登らんという。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
わが最初の寓目ぐうもくの感は如何いかん、われは唯前山ぜんざんの麓に沿うて急駛きうし奔跳ほんてうせる一道の大溪とかたはらに起伏出沒する數箇の溪石とを認めしに過ぎざりしといへども、しかもその鏘々さう/\として金石を鳴らすが如き音は
秋の岐蘇路 (旧字旧仮名) / 田山花袋(著)