学殖がくしょく)” の例文
シューマンは十九世紀のロマン派作曲家中、最も学殖がくしょくに富み、最も生真面目きまじめな、最も芸術的な人であった。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
当時余はほんの小供こどもであったから、先生の学殖がくしょくとか造詣ぞうけいとかを批判する力はまるでなかった。第一先生の使う言葉からが余自身の英語とはすこぶる縁の遠いものであった。
作者としては充分な学殖がくしょくたっとき未来とをもった、若く美しい楠緒女史は春のころからのわずらいに、夏も越え、秋とすごしても元気よく顔の色もうつくしく、語気も快活にいゆる日を待ちくらして
大塚楠緒子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
かつて彼女の写真を見るに、豊頤ほうい、細目、健全、温厚の風、靄然あいぜんとしておおうべからざるものあり。母の兄弟に竹院和尚おしょうあり、鎌倉瑞泉寺の方丈ほうじょうにして、円覚寺の第一坐を占む、学殖がくしょく徳行衆にぬきんず。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
それは、地位にしろ、財産にしろ、学殖がくしょくにしろ、私とは段違いの求婚者が、突然初代の前に現れたことであった。彼は、有力な仲人なこうどを介し、初代の母親に対して、猛烈な求婚運動を始めたのである。
孤島の鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
と三輪さんは団さんの曲解きょっかいを鵜呑みにして学殖がくしょくてらった。
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)