かおよ)” の例文
といいかけてまず微笑ほほえみぬ。年紀とし三十みそじに近かるべし、色白くかおよき女の、目の働き活々いきいきして風采とりなりきゃんなるが、扱帯しごききりりともすそを深く、凜々りりしげなる扮装いでたちしつ。
清心庵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
胸張り肩そびえたる士官の、まだ維廉ウィルヘルム一世のまちに臨める窓にりたもう頃なりければ、さまざまの色に飾り成したる礼装をなしたる、かおよ少女おとめ巴里パリまねびのよそおいしたる
舞姫 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
坊主には候わず、出家にははんべらじ。と、波風のまぎれに声高に申ししが、……船助かりしあとにては、婦人のかおよきにつけ、あだ心ありて言いけむように、色めかしくも聞えてあたりはずかし。
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)