天床てんじょう)” の例文
部屋のすみにころがされて、泣き叫ぶ赤児の声も耳にはいらないのか、一日じゅう寝そべったまま、天床てんじょうか壁をぼんやりとながめていた。
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
それは入口のドアのところに、ほとんど天床てんじょうに届くくらいに、高く白い長い裾を宙にふわふわさせて、ゆらりと動いている。
幽霊屋敷の殺人 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
その十坪ほどの、細長い、箱のような小屋には、燭光しょっこうの弱い裸の電球が、天床てんじょうから一つぶらさがっているだけである。
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
その十坪ほどの、細長い、箱のような小屋には、燭光しょっこうの弱い裸の電球が、天床てんじょうから一つぶらさがっているだけである。
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
それを上段の蒲団の上にのせ、さらに、戸納の天床てんじょうの板を外して斜めにし、その板から天床へ燃え移るようにした。
日日平安 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
つまりここでは生活を雁字搦がんじがらめにして、手枷てかせ、足枷、首枷をはめたうえ天床てんじょうつるし上げたというかたちらしい。
佐八が自分で造ったのだろう、天床てんじょうもない板壁の、掘立て小屋のようなもので、車のを作る材料や道具類が、一枚敷いた薄縁のまわりにちらばっていた。
おくにはうなずいた。半月ばかりまえに、外から帰って来た富三郎が、天床てんじょう裏へなにか隠すのを見た。
店へはいると、四十がらみの男が、灯を入れたはちけんを天床てんじょうりあげているところだった。
さぶ (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
栄二は上わ眼づかいに天床てんじょうを睨み、下唇を歯できつく噛んだ。ひざの上にある彼の手はこぶしになり、力をこめているので、指の節のところだけ血の色がひいて、白っぽくみえた。
さぶ (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
庄野は持っている茶碗をみつめ、渡貫は庭のほうを見、又左衛門は天床てんじょうを見あげていた。
燕(つばくろ) (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「おれはまえからにおちなかった」栄二はぎらぎらした眼を天床てんじょうへ向けながら続けた
さぶ (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
夜なかに蝋燭ろうそくをつけて用を足しにいって、それを枕元まくらもとに立てたまま寝ちゃったらしいの、それが引幕に移ったからたまらないわ、ぼうっといっぺんに天床てんじょうへ燃えあがっちゃうでしょう
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
農家と違うのは天床てんじょうが低いのと、たいていの客がべつに部屋を取らず、そこでこみあって寝るし、鍋釜なべかまを借りてその炉で煮炊きもするため、それらに必要な道具類が並んでいることなどであった。
雨あがる (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
太く反った棟柱むなばしらが、天床てんじょうのない屋根裏にがっしり据っているし、ひと抱えもありそうな大黒柱や、食器箪笥たんすや、広い板の間など、年代を磨きこんだ人のちからとで、チョコレート色に光ってみえた。
おごそかな渇き (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「どうしてでしょう先生」とおふみは天床てんじょうを見まもったまま云った
赤ひげ診療譚:06 鶯ばか (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
蝶太夫はじっと眼を据えて、暗い天床てんじょうの一点を見まもった。
五瓣の椿 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「さてね」彼は恥ずかしそうに天床てんじょうを見た
ひとごろし (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
幹太郎は天床てんじょうを眺めていた。
花も刀も (新字新仮名) / 山本周五郎(著)