大雅堂たいがどう)” の例文
これから思うと例えば大雅堂たいがどう高陽こうようなどの粗雑なような画が見る人を包み込む魔力を今更のように驚かないではいられない。
帝展を見ざるの記 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
歌麿うたまろがかったものにも色気を出す、大雅堂たいがどう竹田ちくでんばたけにもくわを入れたがる、運が好ければ韓幹かんかんの馬でも百円位で買おう気でおり、支那の笑話しょうわにある通り
骨董 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
モデルを見ずに描いたというミケランジェロはどれだけ多くの死体を研究したか、大雅堂たいがどうはどれだけ多くの山水を巡礼して歩いたかを知らなくてはならぬ。
油絵新技法 (新字新仮名) / 小出楢重(著)
御承知の大雅堂たいがどうでも今でこそ大した画工であるがその当時ごうも世間向の画をかかなかったために生涯しょうがい真葛まくずはら陋居ろうきょひそんでまるで乞食と同じ一生を送りました。
道楽と職業 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
大雅堂たいがどう柳下人物りゅうかじんぶつの掛物を二両二分、徂徠そらいの書、東涯とうがいの書もあったが、誠にがない、見るに足らぬ。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
呑気のんき白襖しろぶすまに舞楽の面ほどな草体を、大雅堂たいがどう流の筆勢で、無残むざんに書き散らして、座敷との仕切しきりとする。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
その他はごた/\した雑物ぞうもつばかり。覚えて居るのは大雅堂たいがどう山陽さんよう。刀は天正祐定てんしょうすけさだ二尺五寸拵付こしらえつきく出来たもので四両。ソレカラ蔵書だ。中津の人で買う者はありはせぬ。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
下って大雅堂たいがどう景色けいしょくである。蕪村ぶそんの人物である。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)