おおよそ現身うつせみのこのわが世間に、幽顕の二道あり。顕事は掛けまくもかしこ天皇命すべらみこと、これをしろしめし、幽事は大物主神おおものぬしのかみしろしめせり。
通俗講義 霊魂不滅論 (新字新仮名) / 井上円了(著)
また「高皇産霊神たかみむすびのかみ大物主神おおものぬしのかみに向ひ、汝若いましもし国つ神をて妻とせば、われなおうとき心りとおもはん」と仰せられた。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
これは三輪みわやしろ大物主神おおものぬしのかみが、勢夜陀多良媛せやだたらひめという女の方のおそばへ、朱塗しゅぬりの矢に化けておいでになり、ひめがその矢を持っておへやにおはいりになりますと
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
天皇大和に御即位になって、皇后をお立てになるに、国津神大物主神おおものぬしのかみの女五十鈴姫命いすずひめのみことをお択びになりました。その後も多く国津神から皇后はお立てになっております。
大物主神おおものぬしのかみ顔を隠して夜のみ倭迹々姫命やまとととびめのみことに通い、命その本形を示せと請うと小蛇となり、姫驚き叫びしを不快で人形にかえり、愛想かしを述べて御諸山みもろやまに登り去り、姫悔いてはしほといてこう
「私は大物主神おおものぬしのかみのお血筋ちすじをひいた、建甕槌命たけみかづちのみことと申します者の子でございます」とお答えいたしました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
媛はその糸の伝わっている方へずんずん行って見ますと、糸はしまいに、三輪山みわやまのおやしろにはいって止まっていました。それで、はじめて、お婿さんは大物主神おおものぬしのかみでいらしったことがわかりました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)