大屋おおや)” の例文
そのうちに大屋おおやさんが来て、無理になだめて引っ張って帰ったが、考えてみれば可哀そうでもあり、しん吉は一体どうしたのかねえ
半七捕物帳:68 二人女房 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
子供の時から「大屋おおや横行話よこゆきばなし」というユーモラスな話を何度となく聞いている。例えば村の剽軽ひょうきんな連中が都に上ったときの笑い話がある。
故郷七十年 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
二枚のガラス戸越しに、隣の大屋おおやさんの高いへいかしとがこちらを見おろすように立っている。その窓の下には、地下室にでもいるような静かさがある。
(新字新仮名) / 島崎藤村(著)
長嘯子ちょうしょうしのえらびたまへる諸虫歌合せの跡をおって、恋のこゝろのざれ歌をのばへはべるに、兎角とかくして夜もふけはべりし、江山風月こうざんふうげつ常のあるじなければ、しろをせむる大屋おおやもあらねど
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
「家賃で食って行くなぞは大屋おおや凸凹でこぼこのすることです。何かします。額の汗で食って行きます。しかし僕は金専門で働く気には何うしてもなれません。同僚は実にひどいんですよ」
親鳥子鳥 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
何う云うものか俚諺ところことばに、旅籠屋はたごやのことを大屋おおや/\と申します。
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「よし、わかった。これで今日は帰してやる。御用があって又なんどき呼び出すかも知れねえから、仕事場の出さきを大屋おおやへ一々ことわって行け」
半七捕物帳:43 柳原堤の女 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
大屋おおやさんですよ」
脱線息子 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
そのうちの三浦老人は、大久保に住んでいて、むかしは下谷辺の大屋おおやさんを勤めていた人である。
半七捕物帳:37 松茸 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
なぜ早く大屋おおやさんやお長屋の人達にしらせて、なんとか始末を付けねえんだと叱言こごとを云ったような訳なんですが、なにしろまだ年が若けえもんですから、唯もう面喰らってしまって
半七捕物帳:12 猫騒動 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
三浦という老人は家主いえぬしで、その時代のことばでいう大屋おおやさんであった。
三浦老人昔話 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)