大和守やまとのかみ)” の例文
目に立つ巻き絵物などは避けたじんの木製の二段のたななどを手ぎわよく配置してあるのは皆大和守やまとのかみのしたことであった。
源氏物語:40 夕霧二 (新字新仮名) / 紫式部(著)
御承知でもありましょうが、川越という土地は松平大和守やまとのかみ十七万石の城下で、昔からなかなか繁昌の町でした。
と、初めからの目標としていた浅井の二陣高宮三河守、三陣赤田信濃守、四陣大野木大和守やまとのかみなどの兵は、余り突き出し過ぎて、かえって織田軍の後ろへ出てしまった。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一、立花左近将監たちばなさこんしょうげん様。伊豆大島いずおおしま一円。松平下総守しもうさのかみ様、安房あわ上総かずさの両国。その他、川越かわごえ城主松平大和守やまとのかみ様をはじめ、万石以上にて諸所にお堅めのため出陣の御大名数を知らず。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
稲葉美濃守みののかみ、久世大和守やまとのかみ、土屋但馬守たじまのかみ、板倉内膳正ないぜんのかみ。大目付は大岡佐渡守、目付は宮崎助右衛門で、伊達家の人びとが到着するとまもなく評定がひらかれ、まず安芸が呼ばれて出た。
松平大和守やまとのかみには客分にあつかわれ、新羅しんら三郎義光よしみつの後胤甲斐源氏の名門であり、剣を取らせては海内の名人、しかも家計は豊かであって、倉入り千俵と云われて居り、門弟の数大略おおよそ二千
剣侠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「酒井大和守やまとのかみ様ア——」
国々の参詣さんけい者が多かった。大和守やまとのかみの妻も来た。その派手はでな参詣ぶりをうらやんで、三条は仏に祈っていた。
源氏物語:22 玉鬘 (新字新仮名) / 紫式部(著)
処士とはいっても所の領主、松平大和守やまとのかみには客分として、丁寧にあつかわれる立派な身分、ことには自分が贔屓にしている、高萩の猪之松の剣道の師匠——そういう逸見多四郎であった。
剣侠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
『井上大和守やまとのかみ様、御前へ』
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
久世大和守やまとのかみ家中
平生からすぐに遺骸いがいは火葬にするようにと御息所みやすどころは遺言してあったので、葬儀は今日のうちにすることになって、故人のおい大和守やまとのかみである人が万端の世話をしていた。
源氏物語:39 夕霧一 (新字新仮名) / 紫式部(著)
この人は大和守やまとのかみの妹で、御息所みやすどころめいであるというほかにも、子供の時から御息所のそばで世話になっていた人であったから喪服の色は濃かった。黒を重ねた上に黒の小袿こうちぎを着ていた。
源氏物語:40 夕霧二 (新字新仮名) / 紫式部(著)
「御息所の四十九日の仏事のことなども大和守やまとのかみ一人の手でやっております。気の毒なことでございます。よい身寄りのない人は自身についた幸福だけで生きている間はよろしゅうございますが、死んだあとになってみますと気の毒なものです」
源氏物語:40 夕霧二 (新字新仮名) / 紫式部(著)
大和守やまとのかみ
源氏物語:39 夕霧一 (新字新仮名) / 紫式部(著)