夜徹よどお)” の例文
多分、町の遊び風呂の女達を引っ張りこんで、夜徹よどおしで飲み明かした連中が、今ぞろぞろ帰ってゆくのであろう。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「望月様は、この辺の山を預かる御大家でござんすから、もうこの近所の人はみんなよばれて朝から大騒ぎ、今夜もまた夜徹よどおし飲み明かしなさるのでござんしょう」
大菩薩峠:08 白根山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
夜徹よどおし起します。昼は文治郎を出さぬように付いて居りますから、仕方なく七日八日すごします。母も其のうちには文治郎の気が折れて来るだろうと思って居りました。
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
霧が夜徹よどおし深かった、焚火の光を怪しんで、夜中に兎がうかがい寄ったと、猟師は言ったが、私は寝ていて知らなかった、草鞋わらじも解かないで、両足をとろとろ火に突っ込んで、寝ていたとき
白峰山脈縦断記 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
大山へは、夜立ちして十三里日着ひづきする。五円持て夜徹よどおし歩るき、眠たくなれば堂宮どうみやに寝て、唯一人富士に上って来る元気な若者もある。夏のいのちは日と水だ。照らねばならず、降らねばならぬ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
「いや、今すぐと申すわけでございません。明日のお立ちまでにちょいとお目にかかる事が出来れば結構でございます。なあに、私は、お待ちする分には、夜徹よどおしでも構わないのでございます。よくこれまでにも、そういう事がありましたでな、はい。」
論語物語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
「お風邪かぜのおからだで、この雨気のなかを夜徹よどおしのお歩行かち。お疲れもひと方ではござりますまい。城内へお入りあそばしたら一刻もはやく身を温めておやすみなされますように」
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あの連中は根気はいいな、寒稽古といって夜徹よどおしやっていることがある。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「まあ、急がんでもいい。今夜は夜徹よどおしあるというから」
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)