垂髪おさげ)” の例文
その叫びで、十三の痩せて雀斑そばかすだらけのアーニャは、生え際まで赧くなった。彼女は憤ったように垂髪おさげを背中の方へ振りさばいて、叔母を睨んだ。
(新字新仮名) / 宮本百合子(著)
「そうそう。あの時山木のむすめと並んで、垂髪おさげって、ありあ何とか言ったっけ、葡萄色ぶどういろはかまはいて澄ましておどってたのは、たしか浪さんだっけ」
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
その小さな垂髪おさげをしてる後ろ姿を見たとき、彼女は震え上がった。彼女は娘のあとを追っかけた。
彼女は昔よりもほんの少し大きくなったかと思われる。あのみごとな垂髪おさげも、今では頭にまきつけてある。ところがハンス・ハンゼンのほうは、昔とちっとも変わっていない。
相見るたびに少年少女ながら二人はほのかな微笑と首肯うなづきとの眼を交はし、唇を動かした。私は厚かましく彼女の教室をのぞき、彼女の垂髪おさげに触れたり、机のふたをはぐつてお清書の点を検べたりした。
途上 (新字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
お前さんの髪は、あの小部屋で、首に巻きつけた垂髪おさげを人が解いてくれたその時から、もうまっ白だったんだよ。けれどあの人は生きてるよ。しかももう、責めも苛なみもされない境涯なんだよ。
華美はでなるカシミールのショールとくれないのリボンかけし垂髪おさげとはるかに上等室に消ゆるを目送して、歩を返す時、千々岩の唇には恐ろしき微笑を浮かべたり。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
垂髪おさげをうしろへ投げるようにして、ほっと息をつきつき、彼と向き合いに立った。
わたしは自分の垂髪おさげをぐいと握って、それで縊れようとしました。
豊かな明色ブロンド垂髪おさげと、笑を含んだ切れ長の碧い眼と、鼻の上に薄くかかっているそばかすとを持った面影である。彼女の声にこもっていた響きが耳について、彼は寝つくことができなかった。