トップ
>
垂布
>
たれぎぬ
ふりがな文庫
“
垂布
(
たれぎぬ
)” の例文
寝台の三方は板壁で、一方だけが開いていて、そこには
垂布
(
たれぎぬ
)
がかけてあるのだ。すなわち一つの独立した、小さい部屋を形成しているのさ。
鴉片を喫む美少年
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
左には広き
開
(
ひら
)
き
戸
(
ど
)
あり。右にも同じ戸ありて
寝間
(
ねま
)
に通じ、この
分
(
ぶん
)
は緑の
天鵞絨
(
びろうど
)
の
垂布
(
たれぎぬ
)
にて覆いあり。窓にそいて左の
方
(
かた
)
に為事机あり。その手前に
肱突
(
ひじつき
)
の
椅子
(
いす
)
あり。
痴人と死と
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
丁度私達の恋が悲しい形を取った時、二人の上には死の
垂布
(
たれぎぬ
)
がふんわりと蔽いました。その時私達はその死を見つめないで、その垂布に包まれて泣いている愛をばかり見つめたのです。
湖水と彼等
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
広さ六畳の洋風書斎、壁に
篏
(
は
)
め込まれた
巨大
(
おおき
)
な書棚。それへ掛けられた深紅の
垂布
(
たれぎぬ
)
、他に巨大な二個の書棚、
尚
(
なお
)
この他に廻転書架、窓に向かって大ぶりのデスク。
小酒井不木氏スケッチ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
(右手扉の方へ
行
(
ゆ
)
かんとする時、死あらわれ、
徐
(
しずか
)
に
垂布
(
たれぎぬ
)
を
後
(
うしろ
)
にはねて戸口に立ちおる。ヴァイオリンは腰に下げ、弓を手に持ちいる。驚きてたじたじと
下
(
さが
)
る主人を、死は
徐
(
しずか
)
に見やりいる。)
痴人と死と
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
垂
常用漢字
小6
部首:⼟
8画
布
常用漢字
小5
部首:⼱
5画
“垂”で始まる語句
垂
垂下
垂木
垂々
垂井
垂涎
垂髪
垂氷
垂簾
垂水