とらは)” の例文
彼はに夢ならでは有得べからざるあやしき夢にもてあそばれて、みづからも夢と知り、夢と覚さんとしつつ、なほねむりの中にとらはれしを、端無はしなく人の呼ぶにおどろかされて、やうやものうき枕をそばだてつ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
其所そこに、此呑気の源は伏在してゐるのだらうと思ふ。三四郎は近頃ちかごろ女にとらはれた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「然し自意識が発達すると云ふ事は、他人の間から自己を独立させると云ふ事になる、またとらはれた自分をいかさうと云ふ事にもなる。」と膳を押遣おしやつて、心静かに落着いて煙草をふかして居る。
茗荷畠 (新字旧仮名) / 真山青果(著)
まひろく永き刻みにとらはれつつ