嘲蔑ちょうべつ)” の例文
光秀といえば目のかたきに嘲蔑ちょうべつし憎悪されている実証が他家の侍たちの中にすら語り草になっている空気だの、思い出せばりもない。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あらゆる罵詈ばり、あらゆる嘲蔑ちょうべつ——武蔵の胸には少なくもそうこたえた——を堂衆たちは彼に浴びせかけて、ぞろぞろと帰って行った。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
議論する者が、それ以上にも、突っ込んで、武蔵をめれば、巌流は、それ自体が、自身を嘲蔑ちょうべつする言葉かの如く、おもてを朱にしてまでも
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
人と生れ、その嘲蔑ちょうべつを、受けてのみいて、思い知らしてやることを、あきらめ切っている者では決してない。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
酷薄こくはくと、嘲蔑ちょうべつのなかに、常に彷徨さまよって来た彼だけに、人の情けは人いちばい強く感じる彼だった。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかも、あなたの嘲蔑ちょうべつとあのけんまくにも屈せず、誠心誠意、相手を説破せんとするあの情熱は正直者です。あの容態ようたいは大器です。必ず後に大きくなるうつわと、野衲やのうは信じて疑いません
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
冷然と、そしてまた、鋭いものは、対岸に立った仇敵の嘲蔑ちょうべつです。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)