嘉十かじゅう)” の例文
そこらがまだまるっきり、丈高たけたかい草や黒い林のままだったとき、嘉十かじゅうはおじいさんたちと北上川の東から移ってきて、小さな畑を開いて、あわひえをつくっていました。
鹿踊りのはじまり (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
文「そりゃア困ったなア……これ嘉十かじゅう手前てめえも一緒にけ、二人に怪我をさしては成んねえから、おらも直ぐに行くだから、手前長く奉公して世話に成ったから一緒にけ」
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
嘉十かじゅうさんかえ」
甲州鎮撫隊 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
おれ今でこそ車を引いてるが、元は大久保政五郎おおくぼまさごろうの親類で、駈出かけだしの賭博打ばくちうちだが、漆原うるしはら嘉十かじゅうと云った長脇差ながわきざしよ、ところが御維新ごいっしんになってから賭博打を取捕とっつかめえては打切ぶっきられ
走りながら廻りながらおどりながら、鹿しかはたびたび風のように進んで、手拭を角でついたり足でふんだりしました。嘉十かじゅうの手拭はかあいそうに泥がついてところどころ穴さえあきました。
鹿踊りのはじまり (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)