嘉助かすけ)” の例文
養子にはいった当主の伊四郎はもちろん、番頭の嘉助かすけさえなにも知らない。ただ徳次郎だけは、あたしの生きていることを知っている。
五瓣の椿 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「おい! 浅に、喜蔵に、嘉助かすけとが、俺と一緒に来るんだ! 外の野郎達は、銘々思い通りに落ちてくれ! 路用ろようの金は、分けてやるからな!」
入れ札 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
「ちゃうはあぶどり、ちゃうはあぶどり」と高く叫ぶ声がしてそれからいなずまのように嘉助かすけが、かばんをかかえてわらって運動場へかけて来ました。
風野又三郎 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「まだある、原の嘉助かすけ小父おじも、おめえのたッた一人の身寄りだが、とうとうこの春先死んでしまった」
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
老番頭の嘉助かすけと手代の福三郎、これは遠縁に当る男で、いずれは、大黒屋のめいで、奉公人とも娘分ともなく養われている、お徳と嫁合めあわせて、暖簾のれんを分けるだろうと言われている男でした。
「ありや、家にゐた嘉助かすけせがれだね。」
良寛物語 手毬と鉢の子 (新字旧仮名) / 新美南吉(著)
「ちょうはあ かぐり ちょうはあ かぐり。」と高く叫ぶ声がして、それからまるで大きなからすのように、嘉助かすけがかばんをかかえてわらって運動場へかけて来ました。
風の又三郎 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
おしのが着替えをしようとしていると、番頭の嘉助かすけが、声をかけて、はいって来た。彼は三十七になり、四丁目の裏に家のあるかよい勤めで、妻とのあいだに子供が二人あった。
五瓣の椿 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)