唐天竺からてんぢく)” の例文
「これは驚いた、これほどの猛毒は、日本はもとより唐天竺からてんぢくにも聞いたことがない。附子ぶしちんと言つたところで、これに比べると知れたものだ」
行かれる物なら此まゝに唐天竺からてんぢくの果までも行つて仕舞たい、あゝ嫌だ嫌だ嫌だ、何うしたなら人の聲も聞えない物の音もしない、靜かな、靜かな
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
一般にまだ所謂いわゆる唐天竺からてんぢくといはれた海外万里の異邦の地であつたのだから、お信さんにして見れば、たとひ義絶の間柄にもせよ、これまでの親子としての恩愛や情誼として
乳の匂ひ (新字旧仮名) / 加能作次郎(著)
「そいぢや、どつか遠くへゆけばいいぢやないか、唐天竺からてんぢくへでも。」
良寛物語 手毬と鉢の子 (新字旧仮名) / 新美南吉(著)
行かれる物ならこのままに唐天竺からてんぢくの果までも行つてしまいたい、ああ嫌だ嫌だ嫌だ、どうしたなら人の声も聞えない物の音もしない、静かな、静かな
にごりえ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
この夜光の珠は、日本に類がないばかりでなく、唐天竺からてんぢくから南蠻なんばんにも珍らしいもので、これを一つ賣れば、南蠻紅毛の國では、何千兩、いや/\何萬兩にもなるといふことです。
りきは一さんいゑて、かれるものならこのまゝに唐天竺からてんぢくはてまでもつて仕舞しまいたい、あゝいやいやいやだ、うしたならひとこゑきこえないものおともしない、しづかな、しづかな
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「どこです。どこへでも飛んで行きますよ、唐天竺からてんぢくでも」
「行きませう。かうなりや、唐天竺からてんぢくまでも參りませう」