和殿わどの)” の例文
とまれ文角ぬし、和殿わどのが言葉にせめられて、今こそ一の思ひ出に、聴水物語り候べし。黄金ぬしも聞き給へ
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
「おいのう。何もかも和殿わどののお蔭で、このようによい年を迎えさせて貰うておる。年齢としは覚えぬものというが、いつかこの身も古稀こきを一つ越えましたわいの」
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
和殿わどの正直しやうぢききこえある人なれば幽霊いうれいの証人にたのみ申也、これも人の為也といふ。
「一体、和殿わどのは誰方でござる? お名乗り下さらば、お助け申しましょう」
和殿わどのの六波羅泊りも、はや二十日余りだの。洛中洛外の見物も、まずは、あらましというところか」
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
『そうか。和殿わどのの眼も、あれと見たか。——この春、諸国の牧からのぼって来た四、五十頭のうちでも、まず、あの青毛あおげ四歳駒よんさいごまに及ぶ逸駿いつしゅんはない。こう見ていても、ほれぼれする』
「こうあるのが、当然じゃ。これは、和殿わどのをまもる亡き良持どのの計いであろ」
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ここは、和殿わどのの父、大介義明おおすけよしあきのやしきであったか」
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
『知らぬ。……和殿わどのは、知っておるというのか』