周防守すおうのかみ)” の例文
武鑑で大名は壱岐守いきのかみ伊賀守いがのかみ周防守すおうのかみであったものが、ここではすべて正二位しょうにいから従五位じゅごいにいたる廷臣としての序列でならんでいる。
武鑑譜 (新字新仮名) / 服部之総(著)
「九年の間、雲閣に坐して、身は老衰隠居いたしても、前黄門さきのこうもん松平周防守すおうのかみであるぞ。左様なこそくな手段ができると思うか、うつけ者め!」
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
板倉周防守すおうのかみ、同式部、同佐渡守、酒井左衛門尉さえもんのじょう、松平右近将監うこんしょうげん等の一族縁者が、遠慮を仰せつかったのは云うまでもない。
忠義 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
そこで、千右衛門の申し立てによると、自分は備中松山五万石板倉周防守すおうのかみの藩中であると云うので、辻番所からはすぐに外桜田の板倉家へ使を出しました。
半七捕物帳:60 青山の仇討 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
長女藤姫ふじひめは松平周防守すおうのかみ忠弘ただひろの奥方になっている。二女竹姫はのちに有吉ありよし頼母たのも英長ひでながの妻になる人である。
阿部一族 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
その後から、第一番に松平越中守えっちゅうのかみ久世大和守くぜやまとのかみ、松平周防守すおうのかみ、牧野備中守びっちゅうのかみ岩城播磨守いわきはりまのかみ、それにお側御用御取次水野出羽守でわのかみの以上六名が、いずれも一人一役のお歴々である。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「堀の向う側さ。——あの橋を渡ると、紀伊様のおくら屋敷、そのお隣が、京極きょうごく主膳様、その次が加藤喜介様、それから松平周防守すおうのかみ様——」
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そのほうをりっぱなさむらいに取り立ててやりたいと、城主じょうしゅ周防守すおうのかみさまとそうだんしてまいったのだ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)