吉兆きっちょう)” の例文
あらゆる社会の惰気と腐敗とを一掃して、日本人の生活を積極的に改造する大正維新の転機が到来したことの吉兆きっちょうである気がしてならぬ。
鏡心灯語 抄 (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)
「裏は、桐畑でござるな。これも何やら吉兆きっちょうでござる。てまえ木下家の紋が、先祖以来、桐を用いておりますからな」
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「———そんなものがいろいろ笹の枝にっ着けてあるのよ。あれを大阪では、字で書けば『吉兆きっちょう』なんだけれど、なまってキッキョウって云うんですの。そうでしょ、蒔岡さん」
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「これはこれから油が乗るという吉兆きっちょうでございましょう」
勝ち運負け運 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「竿が手に入るてえのは釣師には吉兆きっちょうでさア。」
幻談 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
人形にんぎょうの紙をみ神光あかしで焼くこと七たび、かくして、十ぽう満天まんてんの星をいのりますれば、兇難きょうなんたちどころに吉兆きっちょうをあらわして、どんな大敵にいましょうとも
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この間の件のことで只今ただいま丹生さんから電話があり、今日の午後六時に嶋の内の「吉兆きっちょう」と云う日本料理屋まで、私にお嬢さんをお連れして来るようにと云うことですが、如何いかがでしょうか、もう簡単に
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
吉兆きっちょう、吉兆! 婿は娘に惚れている」
女婿 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
公卿くげ浪人の策動、甲賀世阿弥よあみのことなど、すべてを箇条書かじょうがきにして、将軍家の御覧に達し、そして? そして? さアその先は万吉には分らないが、なにか、いい吉兆きっちょうのある気がする。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「馬は吉兆きっちょうでしょうか?」
求婚三銃士 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
裾野すそのの湖水へしずめて隠しておいた後、それが何者かに盗みさられて、呂宋兵衛の手で京都にはこばれ秀吉の手からふたたび伊那丸へ返ってきたのは、これ武田家再興の大願がなる吉兆きっちょうか——と
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ならば、正季、吉兆きっちょうだよ。よろこぶべきことかもしれぬ」
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「これぞ大願成就だいがんじょうじゅ吉兆きっちょう——」
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
吉兆きっちょう吉運きちうん
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)