古昔こせき)” の例文
山重なって森深く、岩たたなわって谷をなし、天龍の川の流るる所、古昔こせきより神仙住居すまいして、深紅のぼたんの花を養う。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
安那やすな郡に属す。(古昔こせき穴国あなのくに穴済あなのわたり穴海あなのうみ和武尊やまとだけのみこと悪神を殺戮するの地なり。日本紀景行紀によるに此辺みな海也。)
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
慶元けいげん以還、民間俗楽ぞくがく種々起り、楽器もまた増加し、古昔こせきに比すればいっそう進みたりというべし。しかれども、おおむね卑俚ひり猥褻わいせつにして、士君子のめでるに適せず。
国楽を振興すべきの説 (新字新仮名) / 神田孝平(著)
てもさめても余の思想はこの国土こくどより離れざりしなり、まことにや古昔こせきのギリシヤ人は現世を以て最上の楽園と信じ、彼らの思想は現世外にいでしこと実にれなりしとは、余も余の国を以て満足し
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)