古創ふるきず)” の例文
フム此家ここだな。と門前にたたずみたるは、倉瀬泰助という当時屈指の探偵なり。色白くまなこすずしく、左の頬に三日月なり古創ふるきずあり。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と神尾が、こうと言われて何となく胸をされるように思いました。ここで突然、駒井の名を聞くことは甘ったるいことではない。忘れていた古創ふるきずが不意に痛み出して来たような思いで
大菩薩峠:40 山科の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
彼はえきってしまった古創ふるきずあとに触わられるような、心持ち痛痒いたがゆいような感じで、すっかりちまたの女になりきってしまって、悪くぶくぶくしている彼女の体を引っ張っているのが物憂ものうかった。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
古創ふるきずや恋のマントにむかい酒」
新版 放浪記 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
「いや、どうも、古創ふるきずをあばかれては困るよ」
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)