取締とりしま)” の例文
「故主のお名前だけは勘辨して貰ひたい。——實は拙者と城彈三郎は、九州のさる大藩に仕へて、外國船の出入りを取締とりしまつて居たことがある——」
自分もけっして好い心持ではない。泥棒は各自勝手に取締とりしまるべきものであると警察から宣告されたと一般だからである。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
おつや およしなさいよ、他人様ひとさまの前でそんな色消しなお噂は……。そういうのを流言蜚語りゅうげんひごとか云って、この頃は警察の取締とりしまりが非常にやかましいんですよ。
影:(一幕) (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
そでいま苦勞くらうはつらくとも暫時しばし辛抱しんばうぞしのべかし、やがて伍長ごちやう肩書かたがきたば、鍛工場たんこうぢやう取締とりしまりともはれなば、いへいますこひろ小女こをんなはし使づかひをきて、そのかよわきみづまさじ
軒もる月 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)