取懸とりかゝ)” の例文
そして何時とは無く病的びやうてきに華族嫌となツて了ツた。此の反動として、彼は獨斷どくだんで、父の所思おもはくに頓着なくドシ/\繪畫の研究に取懸とりかゝつた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
けだし土地の人は八幡やはたに比し、恐れて奥を探る者無く、見るから物凄ものすご白日闇はくじつあんの別天地、お村の死骸も其処そこうづめつと聞くほどに、うかとは足を入難いれがたし、予は支度したく取懸とりかゝれり。
妖怪年代記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
周三は、此のモデルをて、製作熱を倍加ばいかした。屹度きつと藝術界を驚かすやうな一大傑作だいけつさくを描いて見せると謂ツて、まるで熱にでもかゝツたやうになツて製作に取懸とりかゝツた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)