厚薄こうはく)” の例文
渋江保さんは当時成斎に就いて筆札を学んでゐて、成斎が柏軒の子鉄三郎を待つに、其父の仕宦前後厚薄こうはくを異にしたことを記憶してゐる。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
ただし幸いなることには、小鳥に対する先生の好意には、著しい厚薄こうはくがある。その愛憎には若干の偏頗へんぱがある。カワセミという奴ばかりは、実際困るのだといっている。
栄誉えいよ利害りがいを異にすれば、またしたがって同情相憐あいあわれむのねんたがい厚薄こうはくなきを得ず。たとえば、上等の士族が偶然会話の語次ごじにも、以下の者共には言われぬことなれどもこのこと云々しかじか、ということあり。
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
程度ていど厚薄こうはくぼくする信仰があったことが、ほぼわかってくるのである。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)