おまえ)” の例文
頑固がんこの——おっとおまえおっかさんを悪口あっこうしちゃ済まんがの——とにかくここにすわっておいでのこのおっかさんのように——やさしくない人だて。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
元来平和な白は、おまえが意地悪だからと云わんばかりうらめしげな情なげな泣き声をあげて、黒と共に天狗犬に向うて居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
「そうありたい事だ。こういっちゃおまえの前だが、実に日本人ジャパニイスは馬鹿さな。しかしあんまり不便ふびんだ。せめて一件の金時計を蔭ながら拝ましてやろうか。」
金時計 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
おまえはどうして其那に水が好きなのか。
一粒の粟 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
年が寄ると何かと心細うなッて困いますよ——武どん、おまえからだを大事にしての、病気をせんごとしてくれんとないませんぞ
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
わしおまえは六合の米よ、早くイッショ(一緒いっしょ、一しょう)になれば好い」
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
よし浪が今死なんにしたとこが、そのうちまたきっとわるくなッはうけあいじゃ。そのうちにはきっとおまえに伝染すッなこらうけあいじゃ、なあ武どん。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)