南蛮船なんばんせん)” の例文
「そのかわりにゃ、今に夜光の短刀を手にいれてよ、南蛮船なんばんせん加比丹かぴたんに持ちこんでみねえ、すぐその日から何万両の長者様だ」
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
悠々とアビトのすそを引いた、鼻の高い紅毛人こうもうじんは、黄昏たそがれの光のただよった、架空かくう月桂げっけいや薔薇の中から、一双の屏風びょうぶへ帰って行った。南蛮船なんばんせん入津にゅうしんの図をいた、三世紀以前の古屏風へ。
神神の微笑 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
真ッさおな北越の海が目の前にひらけました。沖に、煙草色たばこいろの帆を張った、一そう南蛮船なんばんせんがかかっている。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この時を境としてても、時代はあきらかな推移を告げていたのだ。文化は駸々しんしんと進んでいる。西力——南蛮船なんばんせんによる文化の東漸とうぜんは——火薬、鉄砲などの武器に大変革を起していたのである。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
(安土とちがい、港がものをいう。いまに南蛮船なんばんせんも、みんな集まろうに)
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)