卒塔婆小町そとばこまち)” の例文
「いや、お前は和歌うたをやりそうじゃ、さいぜん、あの墓の前でふとお前の姿を見た時に、絵に見る卒塔婆小町そとばこまちを思い出したよ」
大菩薩峠:22 白骨の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
今に段々取る歳も知らないで、来年はモウ廿四になるぢやないか、構ひ手の無くなつた頃に、是れが山木お梅と申す卒塔婆小町そとばこまちの成れの果で御座いツて、山の手の夜店へでも出るが
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
女子をなごさかりは十年ととせとはなきものになるに、此上こよなき機會をりを取りはづして、卒塔婆小町そとばこまち故事ふるごとも有る世の中。重景樣は御家と謂ひ、器量と謂ひ、何不足なき好き縁なるに、何とて斯くはいなみ給ふぞ。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
卒塔婆小町そとばこまちしやうばあさんが、ぼやり、うつむいてやすんでゐた。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「娘は——娘は見た事がないから何とも云えないが——まず着倒れか、食い倒れ、もしくは呑んだくれのたぐいだろう。よもや恋い倒れにはなるまい。ことによると卒塔婆小町そとばこまちのように行き倒れになるかも知れない」
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
最初は絵に見る関寺小町せきでらこまちとか、卒塔婆小町そとばこまちとかいうものではないかと怪しまれたほど、その形がよく画面に見えるそれと似通っておりました。
大菩薩峠:36 新月の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
米友が塔の上から腰をかがめて、塔の周囲に建てめぐらした石の玉垣の入口で見つけたのは、絵にある卒塔婆小町そとばこまちが浮き出したような、白髪はくはつのお婆さんであります。
大菩薩峠:22 白骨の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
言葉をかけてみると、店を守るのは例の卒塔婆小町そとばこまちに似た一人の婆さんであります。
大菩薩峠:22 白骨の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)