化生けしやう)” の例文
猿猴草ゑんこうさう翁草おきなぐさ、オンファロオド、粉粧つくりが足りない尋常の化生けしやうのものよりも、おまへたちのはうがわたしは好だ。ほろんだ花よ、むかしの花よ。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
必定幽靈いうれいか又は狐狸こりの類か惣内に化たるかが目には見分らず汝等は親子の事故目利めきゝ屹度きつと知れるで有う幽靈か又化生けしやうか何ぢや汝等が目には何と見えるコレ九郎兵衞ふか頭を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
後の障子が颯と開いて、腰のあたりに細い紐を卷いたなり、帶も締めず、垢臭い木綿の細かい縞の袷をダラシなく着、胸は露はに、抱いた子に乳房ふくませ乍ら、靜々と立現れた化生けしやうの者がある。
雲は天才である (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
化生けしやうのものが一旦人を誑らかさうと見込んだからには、どこまでも誑らかさずには措かぬ。それあもう、金輪際誑らかさずに措くものぢやない!……さて、それに就いて、こんな話がある。
化生けしやうか、翡翠人氣ひとげ見ては
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
後の障子が颯と開いて、腰のあたりに細い紐を巻いたなり、帯も締めず、垢臭い木綿の細かい縞の袷をダラシなく着、胸はあらはに、抱いた児に乳房ふくませ乍ら、静々と立現れた化生けしやうの者がある。
雲は天才である (新字旧仮名) / 石川啄木(著)