化現けげん)” の例文
その形は小なれども、さきに見つる龍卷に似て、碧き光眼を射たり。こはわが未だのぞかざる驚怖の幻出する所なるか、將た未だえざる記念の化現けげんする所なるか。
「いやいや、いかに人間界にんげんかい化現けげんしている身とはいえ、勢至菩薩せいしぼさつなわつきなどになされては、あとの仏罰ぶつばつがおそろしかろう。あの婦人はわれわれ五人へ渡したまえ」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そのさかしい童児は実は神様の化現けげんであったなどというのを見ると、単なる民間文芸の趣向ではなしに、或いはもとみちばたに出て旅の参詣者さんけいしゃに呼びかけるような宗教的の職業に
こども風土記 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
物なべて化現けげんのしるし
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
拙僧せっそう西方さいほうの国より大心衆生たいしんしゅじょう人間界にんげんかい化現けげんした釈迦しゃか弟子でし文殊菩薩もんじゅぼさつという男。——またうしろにいるのは、勢至菩薩せいしぼさつ弥勒菩薩みろくぼさつ虚空蔵菩薩こくうぞうぼさつ大日菩薩だいにちぼさつの人々であるが……
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その童子の何とか明神の化現けげんなることを知ったという類の物語、これを詳しく説明することは退屈だが、とにかくこの話の出来た頃までは、人がタンポポのもとは鼓の名であることを知っていた。