助勢じょせい)” の例文
老人は傍にいた母親の方を振向いて助勢じょせいを求めた。気のせいかその時老人の目が、ある意味をこめてギョロリと光った様に見えた。
孤島の鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
そのうちには、言いつけて置いたとおり、屋敷の者も集まって来るであろうし、またあの、助勢じょせいを頼んでやった浅香氏も、駈けつけてくることであろう。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
北畠顕家あきいえ軍の鎌倉突破は、いかにも、一しゃ千里に行ったようだが、これには、ほかの助勢じょせいもあったのだ。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
心機一転しんきいってんということもあるから、たからかに奮闘ふんとう的な気持ちになれるよう、思い切って生活を革新かくしんするとか、強い刺撃しげきを与えて心境を変化させるとか、妻自身確信かくしんと元気を持って助勢じょせいするがいい。
良人教育十四種 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
「それにおいであるのは小幡民部殿こばたみんぶどのか。木隠龍太郎、小太郎山こたろうざんよりただいまご助勢じょせいにかけむかってまいったり。武者むしゃどもは、拙者せっしゃがたしかに引きうけもうしたぞ」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
なにを泣いておられるのか、ただいま、三太郎猿さんたろうざるが首につけてきた知らせを見て、殿とのにもことのほかなおおどろき、そっこく、ご助勢じょせいをするためわれわれが、ここへけつけてまいったものを。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、しわがれた声で助勢じょせいをもとめる。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)