別墅べつしよ)” の例文
ボルゲエゼの別墅べつしよに婚禮あり。世にまれなるべき儀式を見よ。この風説は或る夕カムパニアなるドメニカがあばら屋にさへ洩れ聞えぬ。
股引ももひきの破れをつゞり、笠の緒付けかへて、三里にきゆうすゆるより松島の月づ心にかゝりて、住める方は人に譲り杉風さんぷう別墅べつしよにうつる。
桜の実の熟する時 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
自分は𤍠い二杯の老酒ラオチウに酔つて更に諸友と馬車を駆り、日本人の多く住む米租界の呉淞路ウウソンロを過ぎ、北四川路きたしせんろ新公園ニウガアデン白石しらいし六三郎氏の別墅べつしよ六三園に小憩した。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
キケロの別墅べつしよはこゝを距ること遠からざるフオルミエにあり。該撤ケエザル歿後、アントニウス一派の刺客キケロを刺さんと欲す。
我等はこゝに朝餐あさげして、公子夫婦は午時ひるどきまで休憩し、それよりうさぎうまやとひてチベリウス帝の別墅べつしよあとを訪はんとす。