切肉きりみ)” の例文
「貴様のうちまで行く用はない。金が欲しさに云いよるのじゃないぞ。今喰うた切肉きりみを元の通りにして返せて云いよるとぞ」
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
すると、そこへ袖口に下士の星章一つ附けた老人としよりが入つて来た。鬚も頭髪あたまのかみも雪のやうに真白だつたが、丈夫なたちだと見えて、顔は鮭の切肉きりみのやうな色をしてゐた。
味噌桶みそおけ、米俵、酒のかめ、塩鮭の切肉きりみ醤油しょうゆ桶、ほうきちり取り、油壺あぶらつぼ、綿だの布だの糸や針やで室一杯に取り乱してあり、弓だの鉄砲だの匕首あいくちだの、こうした物まで隠されてあるが
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
餌はしこ、またその一族のはま何とかいふさよりに似た細身の魚を最上とし、それが間に合はずば大方の魚の切肉きりみ、即ち共餌ともえででも釣れるのです。岡からも釣れますが、どうしても船です。
樹木とその葉:33 海辺八月 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
「済まんで済むか。切肉きりみを戻せッ」
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)