切歯はぎしり)” の例文
旧字:切齒
これが、それ……お湯殿で御殺害なされた時に、木太刀でも一本あればと切歯はぎしりして仰しやつた……。そのため、木太刀をさし上げて、ぐわん
知多の野間で (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
やがて太き麻縄あさなわもて、犇々ひしひしいましめられぬ。そのひまに彼の聴水は、危き命助かりて、行衛ゆくえも知らずなりけるに。黄金丸は、無念に堪へかね、切歯はぎしりしてえ立つれば。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
清水の旦那のあだかえさずに置くものか、と切歯はぎしりをしながら其のは帰宅致しまして、十二月五日の明店あきだなに忍んで井生森又作の様子をさぐり、旧悪きゅうあく見顕みあらわすという所はちょっと一息ひといきつきまして
初めて知るわが身の素性すじょうに、一度ひとたびは驚き一度は悲しみ、また一度は金眸きんぼうが非道を、切歯はぎしりして怒りののしり、「かく聞く上は一日も早く、彼の山へせ登り、仇敵かたき金眸をみ殺さん」
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
「われこのままに不具の犬とならば、年頃の宿願いつかかなへん。この宿願叶はずば、養親やしないおやなる文角ぬしに、また合すべきおもてなし」ト、切歯はぎしりして掻口説かきくどくに、鷲郎もその心中すいしやりて
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)