分明わか)” の例文
それは、自分の顏であるから、見違へるわけはないが、體つきと、着物と、髮の具合をとりかへたらばちよいと自分でも分明わからなからうと思ふのさへある。
私の顔 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
尤も明白地あからさまに指井とは云はぬ、『友人です、お掛りになれば分明わかります。』とだけで名前を云はない。
媒介者 (旧字旧仮名) / 徳田秋声(著)
尚ノートに依つて見ると弟は東京を慕ひ、聞いて居た俺を慕つて飛騨から出奔して来たことが分明わかつた。あゝ俺はもう生きて居られなくなつた。友よ俺が書き残さうとした事は以上の事である。
悪魔の舌 (新字旧仮名) / 村山槐多(著)
同じ様な事あり畢竟ひっきょう何故なにゆえとも分明わからねど世間に知れれば当楼このうち暖簾のれんきずつくべし、この事は当場このばぎり他言は御無用に願うと、依嘱たのま畏々おそるおそるあかしたる事ありと、僕に話したが昔時むかし武辺者ぶへんしゃ
枯尾花 (新字新仮名) / 関根黙庵(著)
河野一己の腦中から生れた趣向であつたことが分明わかるやうになつた。
明治人物月旦(抄) (旧字旧仮名) / 鳥谷部春汀(著)
河野一己の脳中から生れた趣向であつたことが分明わかるやうになつた。
明治人物月旦(抄) (新字旧仮名) / 鳥谷部春汀(著)