出没しゅつぼつ)” の例文
旧字:出沒
小さいうちから彼の世話になって成長したお延は、いろいろの角度で出没しゅつぼつするこの叔父の特色を他人よりよく承知していた。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
バードックの町を中心にして三〇キロの半径はんけいの円にはいる地域ちいきの町や村が、透明人間の出没しゅつぼつにそなえたのである。
犯人が意外なる大力無双だいりきむそうの怪物であると分かり、それから山中に出没しゅつぼつするという報告を受けたので、「それでは」と怪物狩かいぶつがりの方へ、大部分の警官が動きだした。
超人間X号 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そもそも幕末の時に当りて上方かみがたの辺に出没しゅつぼつしたるいわゆる勤王有志家きんのうゆうしかの挙動を見れば、家をくものあり人をころすものあり、或は足利あしかが三代の木像もくぞうの首をりこれをきょうするなど
そして、それ以来、これまでほとんど忘れていたようになっていた道江の顔が、しばしば彼の眼底に出没しゅつぼつするようになり、時としては、荒田老の怪寄な顔を押しのけることさえあったのである。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
なるべく混血児の出没しゅつぼつしそうなところはないかと思ったので、秋晴あきばれの停留場の前に立っている土地の名所案内をズラリと眺めまわしたが、そこで目にとまったのは
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
怪物かいぶつははじめに、ものさびしい田舎いなかにあらわれた。それからまもなく、あちこちの町にも出没しゅつぼつするようになったのである。たいへんなさわぎになったことは、いうまでもない。
大都会の真中にこんな恐ろしい獣人じゅうじん出没しゅつぼつするとは有り得ることだろうか。一郎は自分の眼を疑った。
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
熱砂ねっさは舞い、火喰ひくい鳥は走り、カンガルーは飛び、先住民族たる原地人は、幅の広い鼻の下に白い骨を横に突き刺して附近に出没しゅつぼつし、そのたびに、青竜刀せいりゅうとうがなくなったり
この物語のはじめに出没しゅつぼつした覆面ふくめん怪人かいじんガスコであった。またギンネコ号の艇長スコールだと名乗って、テッド博士座乗ざじょうのロケット第一号のなかへ変装してやってきた怪漢だった。
怪星ガン (新字新仮名) / 海野十三(著)