凌辱りようじよく)” の例文
一八 談國事に及びし時、慨然として申されけるは、國の凌辱りようじよくせらるゝに當りては、縱令國を以て斃るゝ共、正道を踐み、義を盡すは政府の本務也。
遺訓 (旧字旧仮名) / 西郷隆盛(著)
平次に斯う指摘されると、この五年の間、養父母に加へた虐待ぎやくたい凌辱りようじよくが、あり/\記憶に蘇生よみがへるのです。
いまいくほどもあらざりき、天下てんかおほいみだれて、敵軍てきぐん京師けいし殺倒さつたうし、婦女子ふぢよしとらへてほしいまゝ凌辱りようじよくくはふ。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
凌辱りようじよくしたのは全然神父セルジウスの百姓の娘に対したのと異らない男性の心理である。
けれども、彼の妻は凌辱りようじよくかうむつたことはおほやけにしても、誰が凌辱を加へたかといふことは、公にしなかつた。そのために、凌辱を加へた貴族は、夫や客の騒いでゐるあひだにそつと露台の階段をくだつた。
日本の女 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
誰か善くその妻と妹とを強人がうじんの為に凌辱りようじよくせられ、しかも猶天を仰いで神の御名みなとなふ可きものあらむ。予は今後断じて神に依らず、予自身の手を以て、予が妹明子をこの色鬼しききの手より救助す可し。
開化の殺人 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)