冀望きぼう)” の例文
銭勒ぜにぐつわの利かぬような者は難いかな今の世に免れん事をと歎息し、智馬をして空しく無識の販馬商うまうりの鞍下に羸死つかれしせしめぬよう冀望きぼうを述べてこの章を終結する。
差当さしあたりこの病を医すべき適切なる薬餌やくじを得、なお引続き滞岳たいがくして加養せんことを懇請こんせいしたれども、かれざりしかば、再挙の保証として大に冀望きぼうする所あり
主人は宗教家とぞ聞えし、その菩提心ぼだいしんよりして市民に実際の純良なる牛乳を与えたしとの冀望きぼうを以て創立し、初は僅か車三台を以て配達するほどの小規模なりき。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
余は従来一箇の冀望きぼういだけり。その冀望とは他なし、余が生前に在ってが微力を尽して成立せし一箇の大学校を建て、これを後世にのこし、ひそかに後人を利するあらんと欲する、これなり。
祝東京専門学校之開校 (新字新仮名) / 小野梓(著)
あるいは夫婦不徳の家に孝行の子女を生じ、兄弟姉妹団欒だんらんとしてむつまじきこともあらば、これは不思議の間違いにして、まれに人間世界にあるも、常にしかるを冀望きぼうすべからざる所のものなり。
日本男子論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
略言すれば、この美しい描写全体を考えてみる時には、歓喜と讃嘆の念が起り、これが完成の時期を冀望きぼうせざるを得ないのである。されど如何いかんせん。この時期は決して到達し得ないのである。
嗚呼冀望きぼうの失せしものよ
寒中の木の芽 (新字旧仮名) / 内村鑑三(著)