健氣けなげ)” の例文
新字:健気
「よし、私の力を試してみよう」と、壓しつけられた曇天の日に、悲觀の沈みきつたどん底からさへも、人人は尚健氣けなげに立ち上る。
宿命 (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
地方から出て來た斯の姉さんでもお婆さんでも、小父さんを助けて、都會で自分等の運命を築き上げようとする健氣けなげな人達でした。
激しい苦惱を、自分の胸一つに疊んだ、いぢらしくも健氣けなげな姿——嫁のお信には、さう言つたをかし難い美しさがあつたのです。
本三位の卿の擒となりて京鎌倉に恥をさらせしこと、君には口惜しう見え給ふほどならば、何とて無官の大夫が健氣けなげなる討死うちじにを譽とは思ひ給はぬ。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
年とつた製粉場主はランキン夫人からチエスタ孃の話を聞いて、健氣けなげにも自活の道を立てゝゐるそのか細い、孤獨の娘に直ぐ心をかれるやうになつた。
水車のある教会 (旧字旧仮名) / オー・ヘンリー(著)
名も知られずに悲しげな白樺しらかんば處女をとめで通す健氣けなげの木、わたしの悲しい心のよろこび
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
千登世は健氣けなげに言つたが、圭一郎は情なかつた。
業苦 (旧字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
まだ五十になつたばかり、元氣ものの叔母さんは、賃仕事などをして、健氣けなげに後家を立て通して居ります。
健氣けなげにも、はたいたましや。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)