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俏
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やつ
ふりがな文庫
“
俏
(
やつ
)” の例文
古道具買に身を
俏
(
やつ
)
した、香具師の親方の猪右衛門である。両手に人形を持っている。非常に非常に機嫌がよい。独り言を云っている。
南蛮秘話森右近丸
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
叔父は売薬商人に
俏
(
やつ
)
していったのだが、どの家でも泊めようとしなかったし、ふいに物蔭から、石や棒切れを投げられたりした。
山彦乙女
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
一日中炎天の下に旅行用のヘルメットを
冠
(
かぶ
)
って植木鉢の植木を
剪
(
き
)
り
嘖
(
さいな
)
んだり、飼ものに凝ったり、猟奇的な
蒐集物
(
しゅうしゅうぶつ
)
に浮身を
俏
(
やつ
)
したりした。
食魔
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
いやさ改心して
頭髪
(
あたま
)
を剃こぼち、麻の
法衣
(
ころも
)
に身を
俏
(
やつ
)
し、
仏心
(
ぶっしん
)
になると云ったではござらぬか、その仏に仕える者が
繊弱
(
かよわ
)
い婦人を
彼
(
あ
)
の如く縛って置くをなぜ止めん、なぜ助けん
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
真実
(
ほんとう
)
にわたしによく似た方もあるもの、この人なれば、仲間うちのものが、下町風に身を
俏
(
やつ
)
した自分とも思い違えて、こちらの袖に物をかくすほどのことは無理からぬこと、さぞや
両面競牡丹
(新字新仮名)
/
酒井嘉七
(著)
▼ もっと見る
それでダンスに浮身を
俏
(
やつ
)
すほどの若い芸者たちさえ「大師匠にはどこというところも無いが、あゝいうところはやっぱり惚れ/\するわね」
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
つまり私は乞食に身を
俏
(
やつ
)
して隠密をしているのでございます。庄内川の岸に寝ていたのも、持田家の周囲を立ち廻ったのも、そのためなので。
怪しの者
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「ハイ、今から二十日ほど前、乳母を連れて清水寺に参詣に参った帰路、人形使いに身を
俏
(
やつ
)
した恐ろしい恐ろしい
人買
(
ひとか
)
いに誘拐されたのでございます」
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
その民弥の苦しい心を、見抜いて現われて出たかのように、窓からヒョッコリ顔を出したのは、古道具買に身を
俏
(
やつ
)
した、
香具師
(
やし
)
の親方
猪右衛門
(
ししえもん
)
であった。
南蛮秘話森右近丸
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
勢州
(
せいしゅう
)
産まれの
乞食
(
こじき
)
権七
(
ごんしち
)
、そんなものにまで身を
俏
(
やつ
)
し、尾張家のためとはいいながら、あの立派な船を焼きはらったことは、もったいなく思われてなりません。
怪しの者
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
そこで「城をこっそり抜け出し、卑しい女に身を
俏
(
やつ
)
し、自由に二、三日遊んで見たい」という、こういう
希望
(
のぞみ
)
の起こって来たのは、当然なことということが出来よう。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
そういう者に身を
俏
(
やつ
)
した、二百人あまりの同勢が、無関心な様子はとりながらも、隅田のご前を警護して、先になったり後になったり、歩いて行くのに気が付くであろう。
神秘昆虫館
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
独楽師に扮した一人の浪士は「旨い!」と思わず呟いた、居合抜に
俏
(
やつ
)
したもう一人の浪士は、「ウーン」と深い呻声を洩らし、商人に扮した二人の浪士は顔と顔とを見合わせた。
大捕物仙人壺
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「卑しい女に身を
俏
(
やつ
)
し、こっそり城を抜け出して、せめて二、三日遊んで見たい」
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
大水
(
たいすい
)
を取り入れるために作り設けた、取入口を探ったり、行き倒れ者に身を
俏
(
やつ
)
して、船大工の棟領持田の家へはいり込み、娘をたぶらかして秘密を探ったり、最後にはこの屋敷へ忍び入り
怪しの者
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「姿はさまざまに
俏
(
やつ
)
しては居れど、浪士方と存ぜられます」
大捕物仙人壺
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
俏
部首:⼈
9画