侍衆さむらいしゅう)” の例文
麻𧘕𧘔あさがみしもを着けた五十人あまりの侍衆さむらいしゅうがその先を払って、いずれも恐れ入った態度を取って、ひそやかに二条城を出たのは三月七日の朝のことだ。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「伊勢守様も、もう都の空だよ。大胡城は去年、上杉勢に攻め落されて、石垣と木杭ぼっくいしか残っていない。そこに今あるのは、上杉家の侍衆さむらいしゅうのお陣屋さ」
剣の四君子:03 林崎甚助 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「いやいや家中の侍衆さむらいしゅうではない。ご一門中の立派なお方だ」
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
春彦 や、侍衆さむらいしゅうとおもいのほか……。
修禅寺物語 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「いつぞや、お酒蔵さけぐらの掃除の時、蔵の底からたいそう古い、苔桃こけももの銘酒を見つけたと侍衆さむらいしゅうが珍重がっておりました。なんでしたら、その苔桃こけももの古酒を少々持ってまいりましょうか」
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いいか、いまもいったとおり、石見守いわみのかみさまのおいいつけなのだ。大久保家おおくぼけ侍衆さむらいしゅうでは、もし、見つかった時にぐあいがわるい。で、おまえなら、なあに、どこの小僧こぞうがいたずらをしたかですむ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「弾正さんとうちの御主人とは、親類づきあいだから、すぐ近所に住んでる侍衆さむらいしゅうを十人以上も集めて、みんなここのお客にこしらえ、宵のうちに来て、家の中で待ちかまえているんだ。嘘じゃないよ」
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)