仮牢かりろう)” の例文
旧字:假牢
……ところが、誰かに介抱されて気がついてみると、おのれの身は柳沢家の町方役所の仮牢かりろうに、牢医の手当を受けていた。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
西沢は一人で脇のほうへ寄り、蒼白あおじろく硬ばった表情で、なにかぶつぶつ独り言を云っていた。——死躰は村の墓地に埋め、負傷者は木戸の仮牢かりろうへ入れた。
ちくしょう谷 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
ほか一同は腰縄にて、町奉行石川土佐守いしかわとさのかみ役宅へ引立て、其のは一同仮牢かりろうとゞめ、翌日一人々々に呼出して吟味いたしますると、いずれもわたくしが下手人でござる
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
平次は一人で呑み込むと、専次を奉行所仮牢かりろうに送って、もういちど神田へ引返しました。
即座に引き抜いて来て、仮牢かりろうへぶちこませた。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
江戸へ差立てになるかと思ったお綱は、京都町奉行所の仮牢かりろうを、たった一晩の牢舎でゆるされて出た。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
忌々いまいましいやつ……」と、右衛門尉は、手をやいたようにつぶやいた。そして、この曲者を、充分に調べあげるまで、どこか邸内の仮牢かりろうに預かっておいてくれという。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「女を、仮牢かりろうへ下げい」
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)