代官だいかん)” の例文
家康いえやす家来けらい大久保長安おおくぼながやす、あれはいま甲府こうふの民を苦しめている悪い代官だいかん、その手勢てぜいとたたかうことは、父や兄妹きょうだいあだに向かうもおなじことです
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
代官だいかんは天主のおん教は勿論、釈迦しゃかの教も知らなかったから、なぜ彼等が剛情ごうじょうを張るのかさっぱり理解が出来なかった。時には三人が三人とも、気違いではないかと思う事もあった。
おぎん (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
母屋から渡り廊下のついている離れに起臥おきふししていたが、そこから家内中に号令していた。お山の大将のようなものであった。祖母などはかげでは祖父のことを「うちの代官だいかんさま」と云っていた。
桜林 (新字新仮名) / 小山清(著)
甲府こうふ代官だいかん大久保石見守おおくぼいわみのかみが、手をまわしてれておいた裏切うらぎり者はすべてで十二人、彼女かのじょの走りだすさき、さけるさきに、やりを取って立ちふさがる。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
けれど、勝頼かつよりやぶれたのちは、その躑躅つつじさきたちも、織田おだ代官だいかん居邸きょていとなり、さらにそののち火事泥的かじどろてき甲府こうふへ兵をだしてかすめとった小田原おだわら北条氏直ほうじょううじなお持主もちぬしにかわった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)