仁侠にんきょう)” の例文
しかるに私は、小さい頃から、無頼ぶらいの性質でございまして、あばれ者などのかしらとなって、仁侠にんきょう真似まねなど致しますのが、何より好きでございました。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「なるほど、その約束を忘れず、わしをかばってくれるのか、ありがたい。わしは、日本人の仁侠にんきょうの精神に涙ぐまれる」
怪奇人造島 (新字新仮名) / 寺島柾史(著)
Yの権高けんだかな気風と、徹底した利己主義に、雪子はやゝ超人的な崇高な感じは受けたが、下町娘の持つ仁侠にんきょう的な志気はYにひどい反抗と憎みを持つた。
過去世 (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
其処へ養母によって仁侠にんきょうとたんかと、歯切れのよい娑婆しゃばを吹き込まれたのだ。そうした彼女は養母の後立うしろだてで、十四歳のおりはもう立派な芳町の浜田屋小奴であった。
マダム貞奴 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
その上にまた仁侠にんきょうである。フランスは自己を惜しまない。他の民衆よりもしばしば、献身と犠牲との心を起こす。ただその心があるいはきたり、あるいは去るだけである。
この人こそほんとうの義を重んじ情誼じょうぎにあつく、弱きをあわれみ強きに屈せぬ正義仁侠にんきょうの武門というべきだろう。あらゆる歓待の労も、饗膳の美も、信雄は、精いッぱいを傾けた。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「僕は、山路君の、忍耐と、勇気と、仁侠にんきょうに感動させられました。日本人と、中国人とは、兄弟のように仲好くなるのが、ほんとうだと、こんどの冒険旅行で、しみじみ感じました」
怪奇人造島 (新字新仮名) / 寺島柾史(著)
仁侠にんきょうさ、礼儀正しい細やかなやり方、いずれにも見らるる愉快なぜいたくさ、すなわち、上は交響曲から下は太鼓に至るまで婚礼の一部となっていた音楽、舞踊、食卓の楽しい顔、穿うがちすぎた恋歌