二隅ふたすみ)” の例文
さそくに後をひしと閉め、立花はたなそこに据えて、ひとみを寄せると、軽くひねった懐紙ふところがみ二隅ふたすみへはたりと解けて、三ツうつくしく包んだのは、菓子である。
伊勢之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
平包ひらづつみの布の二隅ふたすみひもに代用して、そのまま肩にかける方法がかんがえだされ、(ロ)次には下げたりかかえたりする袋や籠のかわりに、用がすめばなくなってしまうほどの
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
すなわち平包ひらづつみの布の二隅ふたすみ引出ひきだして、これをひものかわりにして背に負うもので、これは両腕の上部に力の半分を持たせるから、今までの荷負においのように手を自由に使うことができない。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
蚊帳は式台向きの二隅ふたすみと、障子と、ふすまと、両方の鴨居かもいの中途に釣手を掛けて、十畳敷のその三分の一ぐらいを——大庄屋の夜の調度——浅緑を垂れ、紅麻こうあさすそ長くいて、縁側のかたに枕を並べた。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)