下緒さげを)” の例文
「こいつは何に使つた品だらう。刀の下緒さげをぢやなし、前掛の紐ぢやなし、ひどく新しいが——」
わなゝく指にて裾をからげ、手拭もて鉢巻し、脇差の下緒さげをにてたすき十字に綾取る間もあらせず。
白くれない (新字新仮名) / 夢野久作(著)
途方もない賭博者ばくちうちで、軍服や軍帽から外套はおろか、下緒さげをから、まだその上に、どんな騎兵連の間を捜し𢌞つても到底見つかりさうにない下著の端に至るまで、すつかり賭けてしまふといつた
悶えて居るゆゑ後藤は可笑をかしく思ひ是はしたり成程なるほど御前さんには持れぬはずどれ此方こつちへと引取ひきとつて駕籠の棒へ下緒さげをにてくゝりつけコレ御女中お前も一所いつしよに乘り給へ然すればかへつて道もはかどらんと云ふに女は否々いへ/\どう致して勿々なか/\勿體もつたいなしと辭退じたいなしければナニ遠慮なさるな夜中の事ゆゑ外に誰も見る者なしサア/\乘り給へと手を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)